富山鹿島町教会
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テレホンメッセージ

「救いの歴史」(50)

旧約聖書「出エジプト記」第2章の、モーセの生い立ちについてのお話をしています。奴隷とされ、苦しめられていたイスラエル人の一人でありながら、エジプトの王宮で、王女の子として育てられたモーセは、成人したある日、同胞を苦しめているエジプト人を撃ち殺して、死体を砂に埋めました。苦しんでいる同胞のために尽くしたいと思ったのです。しかし彼のその思いは、同胞たちに伝わりませんでした。翌日、同胞どうしのけんかの仲裁に入った彼は、「誰がお前を我々の監督や裁判官にしたのか。お前はあのエジプト人を殺したように、このわたしを殺すつもりか」と言われてしまったのです。

 このことによって、彼はすっかり怖くなってしまいました。エジプト人を撃ち殺し、その死体を隠したことが知れれば、もうエジプト人の中で生きていくことはできません。かといって、同胞であるイスラエル人たちにも受け入れられないとなれば、もうどこにも居場所がないのです。彼は一人、エジプトを逃げ出し、荒れ野を渡ってミディアン人の地にたどりつきました。そこである井戸の傍らに座っていると、羊の群れを連れたミディアンの祭司の娘たちがやって来ました。モーセが水を汲んでその羊たちに飲ませてやったことから、彼はその祭司レウエルの家に世話になることになり、その羊の群れを飼う者になりました。彼はレウエルの娘ツィポラと結婚し、子供も生まれて、それなりに幸せな日々を送りました。もう、エジプトのことも、同胞であるイスラエルの人々のこともすっかり忘れて、自分と家族の生活のことだけを考えて生きるようになったのです。

 モーセがこのように自分の家庭を築き、マイホームパパとして過ごしている間にも、エジプトで奴隷とされているイスラエルの人々の苦しみは日に日に募っていきました。そして彼らの、助けを求める声が神に届いたのです。2章24節に、「神はその嘆きを聞き、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を思い起こされた」とあります。神様はご自分が選ばれた民であるイスラエルのことを思い起こして下さり、彼らをその苦しみから救うために行動を起こして下さったのです。神様の救いの歴史が、また新たに展開されていくのです。

牧師 藤 掛 順 一
[2001年4月2日〜4月15日]

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