富山鹿島町教会
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テレホンメッセージ

「救いの歴史」(48)

 「救いの歴史」と題して、旧約聖書「創世記」に続く「出エジプト記」についてのお話をしていきます。創世記の終りのヨセフの物語においてエジプトに住むようになったイスラエルの民は、最初は70人でしたが、何世代も経つうちに次第に増えていき、大変数の多い一つの民族になりました。そこに、「ヨセフのことを知らない新しい王」が出て、エジプトを支配するようになりました。それはおそらく、王朝の交代があったということでしょう。新しい王朝はイスラエルの人々をエジプトにとっての脅威とみなし、彼らに重労働を課し、虐待するようになりました。要するにイスラエルの民は奴隷化されてしまったのです。しかしそれでもなお、イスラエルの民は増え続けました。子供が沢山生まれ、数が増えていくことは、神様の祝福の印です。神様が祝福の源として選ばれたアブラハムの子孫であるイスラエルの民は、奴隷にされてもなお、神様の祝福の内にあったのです。

 イスラエルの民の増加を食い止めることができないエジプト王はついに、残酷な命令を下しました。それは、イスラエルの民に生まれた男の子は皆ナイル川にほうり込め、という命令でした。男の子を皆殺しにして、イスラエルの力をそごうというのです。そのような中で、イスラエルの民の部族の一つであるレビ族のある家に男の子が生まれました。王の命令によればただちにナイル川に投げ込まなければならないところを、両親は3ヶ月の間隠して育てました。しかしもうこれ以上隠してはおけなくなったので、防水を施した籠の中にその子を入れ、ナイル川の岸の葦の茂みの中に置いたのです。その子の姉が様子をうかがっていると、そこに、エジプトの王女が水浴びに来て、その籠を見つけました。彼女は籠の中の赤ん坊がイスラエル人の子だとわかりましたが、その子が泣いているのを見て不憫に思い、自分の子として育てることにしました。それを見た姉は王女の前に進み出て、この子を育てる乳母を紹介しますと言って、母親を、つまりその子の実の母を乳母として紹介します。こうしてその子は、イスラエルの男の子でありながら、エジプト王女の子として、実の母親のもとに預けられて育てられることになったのです。大きくなると彼は王女のもとに連れて来られ、エジプトの王宮に住み、教育を受けるようになりました。こうして彼は、イスラエル人でありながらエジプトの王子として育てられるという不思議な運命を背負ったのです。この人こそ、出エジプト記の主人公となるモーセでした。

牧師 藤 掛 順 一
[2001年3月5日〜3月18日]

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