富山鹿島町教会
(32)←「救いの歴史」→(34)

テレホンメッセージ

「救いの歴史」(33)

旧約聖書創世記の、ヤコブの物語をたどりながらお話しをしています。逃亡先である叔父ラバンのもとで多くの家族と家畜を持つようになったヤコブは、神様のお告げもあり、ついに故郷に帰ることを決心しました。しかし故郷であるカナンの地には、彼がだまして長子としての権利と祝福を奪い取ってしまった兄エサウがいます。既に20年の月日が経っていますが、兄の怒りはまだ解けていないかもしれません。ヤコブが帰って行ったら、兄が襲いかかってくるかもしれません。その時のヤコブの祈りが、創世記32章10節以下に記されています。

「わたしの父アブラハムの神、わたしの父イサクの神、主よ、あなたはわたしにこう言われました。『あなたは生まれ故郷に帰りなさい。わたしはあなたに幸いを与える』と。わたしは、あなたが僕に示してくださったすべての慈しみとまことを受けるに足りない者です。かつてわたしは、一本の杖を頼りにこのヨルダン川を渡りましたが、今は二組の陣営を持つまでになりました。どうか、兄エサウの手から救ってください。わたしは兄が恐ろしいのです。兄は攻めて来て、わたしをはじめ母も子供も殺すかもしれません。あなたは、かつてこう言われました。『わたしは必ずあなたに幸いを与え、あなたの子孫を海辺の砂のように数えきれないほど多くする』と。」

そしてヤコブは、兄の気持ちをなだめるためのいろいろな工夫をしました。兄への贈り物をしつらえ、それを何隊にも分けて、自分に先だって次々に兄のもとへと送ったのです。そしてその贈り物を携える僕にはこう言わせました。「これは、あなたさまの僕ヤコブのもので、御主人のエサウさまに差し上げる贈り物でございます。ヤコブも後から参ります」。このように、ヤコブは兄エサウとの再会のために最善の備えをなしたのです。

しかし、どのように準備をしても、なお、彼の心は不安で満たされたままでした。人間がどんなに周到に備えをしても、不安から解き放たれることはないのです。その時、一つの出来事が彼の身に起こりました。それについて、次回お話しをしたいと思います。

牧師 藤 掛 順 一
[2000年7月17日〜7月31日]

メッセージ へもどる。

(32)←「救いの歴史」→(34)