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テレホンメッセージ「聖書の人間理解」(43)
旧約聖書創世記第4章の「カインとアベル」の物語についてお話ししてきましたが、この創世記第4章の終わりのところには、カインの子孫たちのことが語られています。その中に、レメクという人がいます。この人が、二人の妻、アダとツィラに向かってこのように語った、ということが23、24節にあります。カインの物語のしめくくりとして、そこを読んでみたいと思います。 この乱暴な言葉の中に、やはり聖書の人間理解があります。それはつまり、罪を犯して神様のもとから離れ去った人間においては、ほうっておけば、復讐がどこまでもふくれあがっていく。ということです。誰でも、自分が受けた損害は大きく感じ、自分が人に与えた損害は小さく感じるものです。それゆえに、復讐が復讐を呼び、憎しみが憎しみを呼んでふくれあがっていく、それが罪人である人間の姿なのです。旧約聖書のもう少し後の方に「目には目を、歯には歯を」という掟が語られていますが、それは、このような人間の性質に基づく掟です。復讐は、目には目、歯には歯でやめておけ、それ以上してはならない、ということです。つまりこの掟は、ほうっておけばどんどんふくれあがっていく人間の憎しみ、復讐心に歯止めをかけようとしているのです。そこには、カインの末裔としての人間の罪に対する聖書の深い理解と、現実的な対応があるのです。
牧師 藤 掛 順 一 |
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