創世記第３７章以下の、ヨセフの物語についてお話ししています。

　兄たちによってエジプトに奴隷として売られたヨセフは、エジプトの王ファラオの夢の意味を解き明かしたことによってエジプトの大臣に取り立てられました。彼が解き明かした夢の意味は、今後７年間大豊作が続くが、その後は７年間何もとれない大飢饉が来るというものでした。そのヨセフの予告の通りになりました。飢饉で食料に困った兄たちは、エジプトに穀物を買いに来ました。その兄たちの前でヨセフが自分の正体を明かしたところまでをお話ししました。ヨセフは自分を奴隷に売った兄たちにこう言ったのです。創世記４５章４節以下です。

　「わたしはあなたたちがエジプトへ売った弟のヨセフです。しかし、今は、わたしをここへ売ったことを悔やんだり、責め合ったりする必要はありません。命を救うために、神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのです。この二年の間、世界中に飢饉が襲っていますが、まだこれから五年間は、耕すこともなく、収穫もないでしょう。神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになったのは、この国にあなたたちの残りの者を与え、あなたたちを生き永らえさせて、大いなる救いに至らせるためです。わたしをここへ遣わしたのは、あなたたちではなく、神です。神がわたしをファラオの顧問、宮廷全体の主、エジプト全国を治める者としてくださったのです。」

　ヨセフは、兄たちによって奴隷に売られ、牢獄に入れられたりもして、大変つらい、苦しい目にあってきました。しかし今、その彼が受けた苦しみの意味と目的が明らかになったのです。それは、神様が、彼と父ヤコブの一家を飢饉から救い、生き永らえさせて下さるためだったのです。そのために神様はヨセフをエジプトの大臣にして下さったのです。全ては神様の不思議なご計画によることでした。ヨセフは、「神がわたしをあなたたちより先にお遣わしになった」と言っています。「わたしをここへ遣わしたのは、あなたたちではなく、神です」とも言っています。神様が、兄たちの嫉妬とそれによる大きな罪、またヨセフの苦しみ悲しみを用いて、彼らを大いなる救いに至らせて下さったのです。ヨセフの物語は、人間の罪や苦しみをも用いて前進する神様の救いを描いているのです。

牧師　藤 掛　順 一
[2001年1月22日〜2001年2月4日]

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