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テレホンメッセージ「救いの歴史」(30)これまで何回かにわたって、旧約聖書創世記25章から27章にかけての、双子の兄弟エサウとヤコブの物語についてお話ししてきました。弟ヤコブは策略をもって兄エサウから長男としての祝福を奪い取ってしまいました。そこには、彼らが生まれる前からの、神様の選びのみ心が働いていたのですが、しかしそんなことは彼らはまだ知りません。エサウは、騙されたと知るとヤコブに対して激しく怒り、「いつかヤコブを殺してやる」と思うようになりました。それでヤコブはその地にいることができなくなり、母の実家へと逃げ出します。神様に選ばれ、祝福の後継者とされたヤコブでしたが、しかしこの時は、兄に命をねらわれ、逃亡者としての不安と苦しみを味わわなければならなかったのです。神様に選ばれた者はすべてがうまくいき、幸せになれる、ということはありません。神様はむしろお選びになった者に厳しい試練をお与えになるのです。
この逃亡の旅の途中で、ヤコブはある夢を見ます。彼の傍らに天に達する階段、あるいは梯子があって、そこを天使たちが昇り降りしているのです。そして神様が彼の傍らに立ってこう語りかけました。 逃亡の苦しみの中で、ヤコブはこのような神様の約束のみ言葉を与えられたのです。「地上の氏族はすべて、あなたとあなたの子孫によって祝福に入る」、これは彼の祖父アブラハムに与えられた約束です。神様は、アブラハムへの約束を、ヤコブに対してもう一度与え直して下さったのです。ヤコブもまた、苦しみの中で、神様のこの約束を信じ、そこに望みを置いて生きる信仰者となったのです。神様に選ばれた者の歩みとはこのようなものです。選ばれた者はかえって厳しい試練を受けます。苦しみにおしつぶされそうになるのです。しかし神様はその人を、み言葉によって支え、救いの約束によって力づけて下さるのです。神様のみ言葉を信じて、試練の中を忍耐しつつ歩むのが、神様に選ばれ、救いにあずかる信仰者の生き方なのです。
牧師 藤 掛 順 一 |
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