富山鹿島町教会

花の日合同礼拝説教

「神様はライオンからも守ってくれます」
ダニエル書 6章26〜29節
コロサイの信徒への手紙 2章6〜15節

小堀 康彦牧師

 私達は日曜日には教会に来て礼拝をします。これは、神様が一番喜ばれることで、一番正しいことなのです。でも私達の周りには、教会に来ている人は少ないかもしれません。周りの人が誰もそうしていないと、何となく、自分は変なのかな、そんな風に考えてしまう時があるかもしれません。でも、そんなことを恐れていてはいけません。私達は神様の子です。ですから、神様がお喜びになることを、第一にするのです。それが何よりも素敵なことなのです。
 イエス様がお生まれになるずーっと前のことです。その頃、神の民イスラエルの人々はバビロンに攻められ、たくさんの人が捕らえられてバビロンに連れて行かれてしまいました。その中にダニエルという少年がいました。ダニエルは知恵があり、王様に仕える者として成長しました。ダニエルは神様から知恵を与えられて、どんな困った問題が起きても、いつもちゃんと解決してしまうので、王様はダニエルをどんどん信頼していきました。ダニエルは王様の家来の中でも、どんどん偉くなっていきました。バビロンの国は滅び、次のペルシアという国になっても、ダニエルは王様に信頼され、何と王様と王子様の次の位を与えられました。総理大臣になってしまったようなものです。ところが、このようにダニエルが出世して偉くなっていくのを、誰もが喜んだ訳ではありませんでした。「あいつはイスラエルから連れて来られた奴ではないか。ここは俺達の国だ。なのに、どうして自分達があいつの命令を聞かなきゃいけないんだ。」そう思う人もいたのです。そしてその人達は、ダニエルが仕事で失敗する所を見つけて、何とか王様に訴えて、ダニエルをやっつけてやろうと思っていました。ところが、ダニエルがやることは、いつでも完璧。王様に訴える理由が見つかりません。
 そこで、彼らはすごい作戦を立てたのです。ダニエルは神の民です。天地を造られた神様に向かって、毎日、三回お祈りをささげていました。彼らは、そこに目をつけたのです。ついに作戦を実行する日が来ました。ダニエルが居ない時にみんなで王様の前に出て、こう言ったのです。「王様、これはみんなで相談して、みんなでこれが一番いいと決めたことなのですが、この国は王様のものです。王様が一番偉いのです。王様より偉いものがあってはなりません。そこで、これから30日間、人間であれ、神様であれ、王様以外のものに願い事をする者は、誰であってもライオンの洞窟の中に投げ込まれる。そのような法律を出されたらいかがでしょうか。ここに、もうその法律を作ってきてあります。どうぞここに王様の名前を書き入れて下さい。」王様は、家来達の言うことは、この国が自分を中心にして、もっとしっかりとまとまっていく為に良いことだと思いました。なかなか良い法律だと思い、ダニエルに相談することなしに、その法律に自分の名前を書き入れてしまいました。さあ、この法律を作った家来達は、これが新しいこの国の法律だ、これに従わない者は、誰でもライオンの洞窟に投げ込まれるぞ、そう言って国中に知らせました。
 さて、ダニエルはこの国の大臣ですから、このような法律が作られてしまったことは、当然知っていました。しかし、ダニエルはこの法律が作られた日にも、いつもと同じように自分の家に帰ると、二階に上がり、窓を開けて、神様に向かって賛美をささげ、お祈りしました。王様の家来達は、この時を待っていたのです。家来達はダニエルが神様に向かって祈っているのを見届けて、王様の所に報告に行きました。「王様、これから30日間、王様以外のものに願い事をする者は、ライオンの洞窟に投げ込まれる、という法律を出されましたね。」王様は、「その通り。一度出された法律は、きちんと守られなければならない。」そう答えました。家来達は、「実は、ユダヤから連れて来た者の中の一人ダニエルが、王様の法律を無視して、日に三回、神様に祈りをささげています。」そう言ったのです。王様はこれを聞いて、驚いて、悩んでしまいました。ダニエルは王様が一番信頼し、愛していた家来だったからです。だから王様はダニエルを家来の中で一番高い位を与えていたのです。王様はどうしたら良いのか困りはててしまいました。何とかダニエルを助けたいと思いました。何とかダニエルを助ける方法はないかと考えました。でもどうにもなりません。家来達は言います。「王様。王様の名前で一度出された法律は変えられません。」ついに、ダニエルはライオンの洞窟の中に投げ込まれることになってしまったのです。
 ダニエルがライオンの洞窟の所に連れて来られました。洞窟の中にはライオンが、一頭、二頭、三頭、四頭、うわぁー、たくさんいます。ダニエルはライオンの洞窟の中に投げ入れられてしまいました。洞窟は、大きな石でふたを閉められました。誰もこの石を動かすことが出来ないように、石には印が付けられました。王様はダニエルがライオンの洞窟に投げ込まれる時、一言ダニエルに声をかけました。「お前が拝んでいる神様が、お前を助けてくれるように。」王様は、自分であんな法律を出したのに、自分でダニエルを助けることが出来なくて、神様が助けてくれることを期待したのかもしれません。王様はその日宮殿に戻りましたが、ダニエルの為に食事もせず、夜も眠ることは出来ませんでした。そして王様は、東の空が少しずつ明るくなり始める頃、ダニエルの投げ入れられたライオンの洞窟の所に来たのです。王様は、石の向こうからダニエルに声をかけました。ダニエルは生きているかな、生きていて欲しいな、そんな気持ちで。「ダニエル、ダニエル、お前がいつも拝んでいる神様は、お前を助けてくれたか。」すると、何と洞窟の中から、いつもと同じ、元気なダニエルの声が聞こえたのです。「王様、神様が天使を送ってくれて、ライオンの口を開かないようにして下さいましたので、私は少しの傷も負いませんでした。神様は私が悪いことをしていないことを証明して下さったのです。王様、私はあなたに背くようなことをしたことはありません。」そう、ダニエルは言いました。
 王様は喜びました。ダニエルが生きている。王様はすぐにダニエルをライオンの洞窟から引き出させました。そして王様は、あの法律は、ダニエルを殺す為のものだったことに気が付いたのです。正しかったのはダニエルで、法律を作った者達ではなかったことを知りました。王様は、自分を利用してダニエルを殺そうとした者達を引き出し、ライオンの洞窟の中に投げ入れました。ライオンは、あっという間に、その人達に飛びかかり、骨までかみ砕いてしまいました。
 王様は、ダニエルが拝んでいる神様、それは私達が今朝拝んでいる神様ですけれど、この神様こそが、本当に力ある神様であり、この世界を支配している方であることを知ったのです。王様は、この国の人々に、この神様を畏れ、敬わなければならないということを、人々に告げたのです。もちろん、王様以外のものに願い事をする者はライオンの洞窟の中に投げ入れられるという法律は、廃止されました。
 神様は、生きて働いて、私達がどんな時にも、必ず守って下さいます。ダニエルはそのことを信じていました。私達も信じています。だって神様は、イエス様が十字架にかけられて殺されても、三日目によみがえらせて下さいました。神様はライオンより恐ろしい死からも、私たちを守って下さいます。復活の命、永遠の命を与えて下さるのです。ですから、私達は何も恐れることなく、ダニエルのように毎日お祈りをして、日曜日の礼拝を守って、歩んでいきたいと思います。それが、ダニエルと同じ神の民とされている、私達の生き方なのです。

[2007年6月10日]

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