ショパンの「軍隊ポロネーズ」。スケールが大きく極めてオーソドックス。のびのびと力強くユッタリ。大きな大きな音楽。細かなテクニックで紛らすコトはしない。コーナーワークでかわすことなく直球勝負。万年青年のサワヤカサ。「バラード4番」。打って変わって細やかなニュアンスのショパン。明らかな音からくすんだモノまで3、4種類の音色が交錯する。右手の明らかな音、メロディーが際立つ。くすんだ音がデシャバルことなくそっと介添え。ステキな色合い。考え抜かれた構成、細かなところまでコントロールされている。総てがヤワでなく激しいところはキレイにバリバリと丁丁発止。違和感のない大きなバラード。ヤサシイ気遣い、ナイーブさも。素敵な多重人格者。
このコンサートのため4枚のCD(ブラームス、ショパン、ドビッシー、ラフマニノフ)を聴く。ブラームスでは隠遁者のイメージ。自分の中の音楽を突き詰めた、人が入りこめない孤高なモノ。誰にも耳を貸さないのか、誰もが褒めそやしアドバイスしないのか。気高いが寂しさが漂う。そんな音楽を好きである、ココロに染み入るモノ静かな音楽を期待した。でも、コンサートでは、すべての音に力を与えアツぼったく演奏されていた。ブリリアントなくらいまで。演奏家は現在そうしないと気が済まない。太った肉厚のブラームスである、私の好きな痩身の枯れた面影はナイ。こんなハズじゃないとココロで舌打ちする。