ヴァン・クライバーン


[黒部国際文化センター「コラーレ」カーターホール/2000年10月22日]


ドビッシー、演奏の技術的破綻があるかと危惧していたが、一番素敵に感じた。独特に色付けされるのかと予想していたが、極めて素直な音楽であった。必要な音だけを選びそのエッセンスで構成する。余分なものを排除した考えられた音楽。きれいにクッキリ旋律が浮かぶ。音はソフト、柔らかでナデルように跳躍する。肩苦しくないリラックスしたドビッシー。ハッとさせれてシックリ心に響く。

ショパンの「軍隊ポロネーズ」。スケールが大きく極めてオーソドックス。のびのびと力強くユッタリ。大きな大きな音楽。細かなテクニックで紛らすコトはしない。コーナーワークでかわすことなく直球勝負。万年青年のサワヤカサ。「バラード4番」。打って変わって細やかなニュアンスのショパン。明らかな音からくすんだモノまで3、4種類の音色が交錯する。右手の明らかな音、メロディーが際立つ。くすんだ音がデシャバルことなくそっと介添え。ステキな色合い。考え抜かれた構成、細かなところまでコントロールされている。総てがヤワでなく激しいところはキレイにバリバリと丁丁発止。違和感のない大きなバラード。ヤサシイ気遣い、ナイーブさも。素敵な多重人格者。

このコンサートのため4枚のCD(ブラームス、ショパン、ドビッシー、ラフマニノフ)を聴く。ブラームスでは隠遁者のイメージ。自分の中の音楽を突き詰めた、人が入りこめない孤高なモノ。誰にも耳を貸さないのか、誰もが褒めそやしアドバイスしないのか。気高いが寂しさが漂う。そんな音楽を好きである、ココロに染み入るモノ静かな音楽を期待した。でも、コンサートでは、すべての音に力を与えアツぼったく演奏されていた。ブリリアントなくらいまで。演奏家は現在そうしないと気が済まない。太った肉厚のブラームスである、私の好きな痩身の枯れた面影はナイ。こんなハズじゃないとココロで舌打ちする。


ブラームス : インテルメッツオ Op.118-1、Op.118-2
ブラームス : カプリチオ ト短調 Op.116-3
ブラームス : インテルメッツオ 変ホ長調 Op.118-6
ブラームス : 2つのラプソディー Op.79
ドビッシー : オクターブのために
ドビッシー : 月の光がふりそそぐテラス
ドビッシー : 水の反映
ドビッシー : 喜びの島
ショパン : ポロネーズ 3番 イ長調 Op.40-1「軍隊」
ショパン : バラード 4番 ヘ短調 Op.52
ショパン : スケルツォ 3番 嬰ハ短調 Op.39
(アンコール)
ラフマニノフ : 前奏曲 嬰ト短調 Op.32-12
2曲[曲目不明(リスト、クライバーン自作?)]
ショパン : 練習曲 ハ短調 Op.10-12「革命」

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