新約聖書には、４つの福音書があります。それぞれに、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネという、人の名前がつけられており、この人による福音書と呼ばれているのです。しかしもともとの聖書にそのような書名があったわけではありません。それは後からつけられた名前です。それぞれ、この人が書いた、と言い伝えられてきた名前を冠して呼ばれるようになったのです。私たちは今、礼拝において、マタイによる福音書を読み進めています。マタイという人がこれを書いたと言い伝えられてきたから、そう呼ばれるようになったのです。そしてその言い伝えの源となったのが、本日の、９章９節以下です。ここには、マタイという人が主イエスの弟子になったことが語られています。この人の名がマタイと呼ばれているのはこの福音書だけです。マルコとルカでは、ここで弟子になったのはレビという人になっています。この福音書だけがマタイという名を使っている。そこから、この福音書を書いた人がここに自分の名前を入れたのではないか、という推測がなされ、それが言い伝えられていったのです。今日の学問的な聖書研究においては、この福音書をこのマタイが書いたとは考えられていません。それはいろいろな点で無理があるのです。しかし、長い間、この福音書がここに出て来るマタイによって書かれたと言い伝えられてきたということには大きな意味があります。その意味は、この箇所を読んでいくことによって、おのずと明らかになっていくでしょう。

　さて、このマタイは徴税人でした。彼が「収税所に座っていた」とあることからそれがわかります。１０節には、主イエスの食事の席に、徴税人や罪人が大勢やって来て同席していたとあります。そのことがすぐに続いて語られていることからも、徴税人であったマタイが主イエスに招かれて弟子になったことが推察されるのです。その徴税人は、「徴税人と罪人」というセットで出て来ます。１１節のファリサイ派の人々の言葉にも、「なぜ、あなたたちの先生は徴税人や罪人と一緒に食事をするのか」とあります。徴税人は罪人と一緒にされているのです。徴税人とはそんなに悪い人たちだったのでしょうか。そのことを理解するためには少し説明が必要です。この徴税人を、今日の私たちの国の税務署の職員と同じように考えてしまうと理解ができなくなります。主イエスの当時のユダヤ、ガリラヤの地域は、今日の日本のような完全な独立国家ではなくて、ローマ帝国の支配化にあったのです。この税金は、ローマが徴収する、ローマに納められる税金です。つまり自分たちの国や自分たちの社会のために用いられる税ではなくて、征服者、支配者であるローマに持っていかれてしまう税金だったのです。その税金を集める徴税人はしかしユダヤ人です。そこが、「支配の天才」と呼ばれるローマ人の賢いやり方でした。ローマは、支配下に置いた各地で、ローマ人によって税金を徴収するのではなく、現地の人々を使ったのです。その使い方は、いくらいくらローマに納めるという条件の下に、その地域の徴税権を現地の人に与える、というやり方でした。そうなると、税金を集めるのはその現地の人です。ローマ人が直接出向いていって税金を徴収すれば反感をかうわけですが、そういうことなしに、確実に税収だけは得られるのです。そしてその徴税権を与えられた人がどんな集め方をするかはローマの関知するところではありません。ですからその人は、ローマに納める分以上に取り立てて私腹を肥やすことができるのです。そういう役得があるから、徴税人の成り手に不足はしないのです。そういうわけで、徴税人はみんな、人々から取り立てた税金の上前をはねて自分のふところに入れていたのです。それは、税金を取り立てられるユダヤ人の側からすれば、赦せないことでした。ローマは自分たちを支配している敵です。その敵の手先となり、その権威を借りて人々から税金を取り、しかもそれで私腹を肥やしている、それは同胞に対する裏切り行為です。しかもユダヤ人は、自分たちは神様に選ばれた神の民だと思っていますから、それは同時に神様に対する裏切りの罪にもなるのです。そういうわけで、徴税人は罪人の代表格とみなされ、「徴税人と罪人」という言い方が生まれたのです。マタイはそういう徴税人の一人でした。彼だけは、他の徴税人と違って余分なものを取り立てて私腹を肥やすようなことはしていなかった、などということはありません。徴税人という制度そのものがそういう役得を前提とする構造を持っているのですから、「良心的な徴税人」などというものはあり得なかったのです。つまりマタイはまさに罪人でした。そのマタイが、主イエスに招かれて弟子になったのです。

　彼が弟子になった、主イエスに従って行った、その経緯はまことに簡単に記されています。主イエスが収税所に座っているマタイを見かけて、「わたしに従いなさい」と声をかけられた。すると彼は立ち上がってイエスに従った。これだけです。主イエスの弟子になるというのは、仕事も何もかも捨てて主イエスと常に行動を共にする者となるという人生の大転換です。そんな大きなことが、どうしてこんなに簡単にできてしまうのか、私たちは不思議に思います。そしていろいろと推測して、納得できる理由を探し出そうとするのです。たとえば、マタイは徴税人をしながらも、自分のしていることにいつも罪の意識を持って悩んでいたのではないか、自分はこれでよいのだろうか、このままではいけない、何とかしなければと思っていたところに、主イエスからの招きがあったので、直ちにそれに飛びついたのではないか、などということです。しかし聖書はそういう合理的な理由を一切語っていません。つまり聖書は、このことについて、私たちを納得させようとしてはいないのです。この福音書の８、９章には、主イエスのなさった様々な奇跡がまとめて語られています。このマタイが弟子になった話も、その一つであると言うことができます。様々な奇跡を語る時に、聖書はそれを合理的に、納得できるように説明しようとはしません。聖書が目指しているのは、読者を納得させ、なるほどこういうこともあり得る、と思わせることではなくて、大きな力、権威を持った主イエス・キリストを描き出すことです。読者がその主イエスを見つめ、そのみ業に驚くことです。そしてそこに示されている主イエスのみ心を悟ることです。徴税人マタイが弟子になったというこの箇所においても、そのことが目指されているのであって、マタイの決断やその動機を語ろうとしているのではないのです。ですから私たちも、聖書が語ろうとしていないことをあれこれ詮索するのではなくて、聖書が本当に語ろうとしていることをしっかりと聞き取っていかなければなりません。

　そのように、マタイの気持ちではなくて主イエスの方に目を向けてこの話を読む時、この簡単な記述の中に様々なことが語られていることが見えてきます。まず、「イエスはそこをたち」とあります。「そこ」とはどこでしょうか。それはその前の８節までに語られていたみ業が行われた場所です。そこにおいて主イエスは、中風で寝たきりだった人に「あなたの罪は赦される」と言われ、それが言葉だけのものではなく、権威ある宣言であることを示すために、「起き上がって床を担ぎ、家に帰りなさい」と言って彼を癒されたのです。この癒しの業、いや正確に言えば罪の赦しの奇跡がなされたその場が「そこ」です。そこから出発して進んでいかれる中に、本日の出来事が起っているのです。「通りがかりに、マタイという人が収税所に座っているのを見かけて」とあります。「通りがかりに見かけて」というと、チラッと横目で見たような印象を持ってしまいますが、ここに使われているのははっきりと「見た」という言葉です。「見かけた」のではなくて、しっかりと「見つめた」のです。主イエスがマタイを見つめられた、そこからこの出来事は始まるのです。主イエスの目にマタイはどのような人として映ったのでしょうか。「収税所に座っているのを」見たとあります。主イエスが目をとめられたのは、収税所に座っているマタイでした。徴税人としての仕事の真っ最中であるマタイ。人々から税金を取り立てているところだったかもしれません。出ししぶる相手を、「そんなに払うのがいやなら、ローマの兵隊さんにおまえさんのことを言いつけてやろうか」と脅していたところかもしれません。あるいは、その日に取り立てた税金の中から、ローマに納める分と自分のふところに入れる分とを取り分けて、今日はこれだけ見入りがあったわいとニヤニヤしていたのかもしれません。収税所に座っている、というのは、まさに彼がそういう罪のまっただ中におり、その中にどっぷりと浸り、あぐらをかいていた、その姿を主イエスが見つめられたということです。主イエスが目をとめたのは、罪の意識にさいなまれ、「自分はこれでよいのだろうか」と悩んでいるマタイではないのです。あるいは他の福音書に出て来る徴税人のように、神殿で遠くの方から、「神様、罪人の私を憐れんでください」と祈っている姿でもないのです。収税所に座っているマタイ、罪の生活の中に頭のてっぺんまで浸かり、あの中風の人のように起き上がることもできずにいる、そういうマタイを主イエスは見つめられたのです。そして「わたしに従いなさい」と声をかけられたのです。

　主イエスに声をかけられたマタイは、「立ち上がってイエスに従った」。「立ち上がって」という言葉が、先ほどの「座っていた」と対になっています。彼は、座っていたのを立ち上がったのです。罪の中に座り込み、浸っていたところから立ち上がったのです。それはあの寝たきりだった中風の人が、起き上がって床を担ぎ、家に帰って行ったのと同じです。そしてこの「立ち上がる」も「起き上がる」も、死者の復活を意味する言葉でもあります。あの中風の人も、このマタイも、罪の中に横たわり、座り込み、起き上がることのできない、死んだような状態から復活させられたのです。新しい命を与えられたのです。マタイが弟子になったという出来事は、そういう主イエスの救いのみ業、奇跡なのです。

　そしてもう一つ、翻訳には表れにくい大事なポイントがあります。「マタイという人が収税所に座っているのを見かけて」というところですが、そこを直訳するとこうなります。「収税所に座っている人間を見た。彼はマタイといった」。つまり主イエスが見つめられたのは「人間」だったのです。人間が、収税所に座っているのを見たのです。そして最後に、その人の名はマタイだったと語られているのです。主イエスは、収税所に座っている人間を見つめられます。つまり、罪のまっただ中に座り込み、そこから立ち上がることができずにいる人間を見つめられるのです。それはマタイだけではありません。マタイは、主イエスが見つめられる人間たちの中の一人なのです。その人間たちの中には、私たちがいます。私たちも、それぞれ、自分の収税所に座っている者です。自分の罪の中に座り込み、立ち上がることができずにいる者です。主イエスはそういう私たちのありのままの姿を見つめ、そういう私たちに、「わたしに従いなさい」と声をかけ、私たちを立ち上がらせて下さるのです。それは、あの中風の人が、寝たきりで起き上がることもできなかったのを、主イエスによって癒され、起きて歩くことができるようにしていただいた奇跡と同じことです。主イエスがその権威と力によって彼を起き上がらせて下さったように、私たちをも立ち上がらせて下さるのです。彼を起き上がらせたのは、「あなたの罪は赦される」と宣言して下さる主イエスの権威でした。マタイにも、そして私たちにも、同じことが起るのです。「わたしに従いなさい」というみ言葉は、「あなたの罪は赦される」という宣言を内に含んだ、主イエスの招きの言葉なのです。

　この招きを受けたのがマタイだけではなかったことが、１０節以下に語られていきます。主イエスの食事の席には、大勢の、徴税人や罪人たちが集まって、共に席についていたのです。それを見たファリサイ派の人々が、主イエスの弟子たちに、「なぜ、あなたたちの先生は徴税人や罪人と一緒に食事をするのか」と言いました。共に食事の席につくことは、最も深い交わりの印でした。この人たちと自分は仲間である、ということを表明するようなことでした。主イエスは、徴税人や罪人たちを、ご自分の仲間として、招き、受け入れられたのです。ファリサイ派の人々はそのことで主イエスを非難しました。いや、非難したと言うより、そんなことをする主イエスが理解できなかったのです。ファリサイ派の人々というのは、決して悪い人たちではありません。むしろ、一生懸命努力して、よい人間になろうとしている人々です。彼らは、神様の律法を人一倍熱心に守り、神様に従って正しく生活しようと努力していたのです。そしてそうするように人々にも教えていたのです。今日の私たちにおいて、このファリサイ派の人々に最も似ているのは、熱心なクリスチャンたちではないでしょうか。神様に従って、正しく生きようと熱心に努めているクリスチャンたち、そのためには我慢することを我慢し、いっしょうけんめいに信仰と奉仕とに生きようとしている姿こそ、ファリサイ派の人々の生き方に似ているのです。要するにファリサイ派とはそういうまじめな人たちです。しかしそのまじめに信仰に生きようとしている者たちが、主イエス・キリストのことを理解できなかったのです。主イエスが、収税所に座っている人を招き、そういう人たちに「あなたの罪は赦される」と宣言し、そういう人たちの仲間として生きておられる、そのことを納得できなかったのです。その主イエスの姿によって彼らは、熱心に信仰に励んでいる自分たちの努力を否定されたように思ったのです。まじめに、熱心に信仰に生きようとしている人の中に、しばしばこのような思いが生じます。その人たちは、自分が人よりも熱心に励み、努力している、そのことに喜びや支えを見出しているのです。それは結局、自分の熱心さ、自分の努力、自分の正しさを拠り所としているということです。そうなっていると、収税所に座っているような連中、罪の中にどっぷり浸っている人々が主イエスに招かれ、その恵みにあずかることが理解できないのです。納得できないのです。それでは自分が一生懸命努力してきたことは何だったのか、と思ってしまうのです。まじめなクリスチャンほど、このファリサイ派の人々の気持ちがわかるのではないでしょうか。このように私たちは、一方では、主イエスに招かれた徴税人、罪人と同じでありつつ、他方ではこのファリサイ派の人々と同じでもあるのです。この話はまさに私たちの姿を描き出していると言うことができるのです。 　このようなファリサイ派の人々の思いに対して、主イエスがお答えになったのが１２節以下のみ言葉です。「医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。『わたしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、行って学びなさい。わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである」。医者を必要とするのは、丈夫な人ではなく病人である。健康な人ばかりなら医者はいらない。私は、病人のための医者としてこの世に来たのだ、と主イエスは言われるのです。その病人とは、マタイのことです。収税所に座っている人間のことです。罪の中に座り込んで立ち上がることができないでいる私たちのことです。そういう者たちのためにこそ、主イエスはこの世に来られたのです。「わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである」。そこに、主イエスの、私たちに対する招きがあります。「わたしに従いなさい」という語りかけがあります。この招きによって私たちは、それぞれの座っている収税所から立ち上がって、主イエスの弟子となることができるのです。主イエスの弟子になることは、私たちが何か特別に立派な人間になり、すばらしい奉仕の業をなす者になることではありません。むしろ、収税所に座っている者であった自分を、主イエス・キリストが見つめて下さり、「わたしに従いなさい」と声をかけて下さり、招いて下さった。罪人である私を主イエスが招いて下さっている、そのことを知り、その招きを受けて立ち上がることこそが、弟子となることなのです。マタイに起ったのはそういうことでした。このマタイがこの福音書を書いた、と言い伝えられてきたことの意味はまさにそこにあります。そのように言い伝えることによって、人々は、この福音書を、罪の中に座り込んでいたところから、主イエスによって招かれ、立ち上がることができた人の感謝の証言として受け止めていったのです。「わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招くためである」というみ言葉が、この福音書の中心をなすメッセージであることを聞き取っていったのです。それは全く正しいことであったと言えるでしょう。この福音書を、罪を赦された徴税人マタイの福音書として読むことは、ふさわしいことなのです。

　しかし私たちが同時に見つめなければならないのは、１２節以下のこのみ言葉が、ファリサイ派の人たちに対して語られたものだったということです。先ほど申しましたように、私たちはしばしばこのファリサイ派の人々と同じになってしまいます。自分が招かれている罪人であることを忘れて、罪人を招く主の恵みがわからなくなってしまうのです。それは私たちが、自分の熱心さや努力、それによって自分が獲得する正しさに拠り頼もうとしてしまうからです。しかし、自分の熱心さや努力によって獲得する正しさでやっていけるなら、主イエスはいらないのです。自分で病気をなおしてしまえるなら医者はいらないのと同じです。私たちは、自分で自分の病気をなおすことはできないのです。自分の熱心さや努力で救いにあずかり、信仰者として生きていくことはできないのです。私たちを癒し、罪の赦しを与え、信仰者として、救いにあずかる者として生かして下さるのは、神様の憐れみ以外の何物でもありません。このみ言葉は、私たちに、自分の熱心さや努力ではなく、神様の憐れみにこそ拠り頼み、すがるべきことを教えています。１３節に、本日共に読まれたホセア書６章６節の言葉が引用されて、「『わたしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、行って学びなさい」とあるのはそういうことです。私たちがどんな立派な、正しいいけにえを捧げるかということではなく、神様の憐れみこそが私たちを救うのです。そのことを「行って、学べ」と主イエスは言われました。ファリサイ派の人々は、神様の憐れみを学ぶために、出かけていかなければならないのです。自分の正しさ、自分の熱心や努力、自分はこれだけのことをしてきた、という思いの中に座り込んでしまうのでなく、そこから立ち上がって、出かけていかなければならないのです。自分の熱心や努力にこだわり、自分は人よりも正しい、清い生活をしていると思って満足しようとする、その思いこそが、ファリサイ派の人々にとっての収税所なのです。主イエスは彼らを、そこから立ち上がらせようとしておられます。そして、神様の憐れみをこそ見つめさせ、そこにこそ救いがあることを学ばせようとしておられるのです。徴税人であり、罪人であったマタイが立ち上がって主イエスに従って行ったのも、神様の憐れみを学ぶためです。主イエスと共に歩み、その教えを聞き、み業を見ることによって、彼は、主イエスにおける神様の、罪人に対する深い憐れみのみ心を味わい知っていったのです。その頂点が、主イエスの十字架の死でした。主イエスはマタイの、そして私たちの罪を全て背負って、十字架にかかって死んで下さったのです。罪人を招く主が、その罪人のために死んで下さる主にまでなって下さったのです。主イエスの弟子として生きるとは、この主イエスの恵み、罪人に対する憐れみのみ心を常に新しく学びつつ、味わいつつ生きることです。主イエスはマタイをも、ファリサイ派の人々をも、私たちをも、そのような弟子としての歩みへと招いておられるのです。この招きに答えて立ち上がり、主イエスにおける神様の憐れみを学ぶために出発すること、それが洗礼を受けてクリスチャン、信仰者になることです。そしてその私たちのために、主の食卓である聖餐が備えられています。これから共にあずかる聖餐において、私たちは、主イエス・キリストが私たちの罪の赦しのために肉を裂き、血を流して死んで下さったことを学び、その恵みを味わっていくのです。聖餐の食卓は、主イエスが、徴税人や罪人を招いて同席させて下さったあの食卓です。主イエスは私たちがどんな罪人であっても、この食卓に招き、共に席につかせて下さるのです。ただ一つ求められているのは、罪人を招いて下さる主イエスの招きに応えて、自分の収税所から立ち上がって主イエスのもとに来ることです。それが即ち洗礼を受けることです。そのことによって私たちは、罪人を招くために来られた主イエスの恵みをみ言葉によって学びつつ、その恵みを聖餐において味わいつつ、主イエスの弟子として、信仰者として歩んでいく者となるのです。それは、マタイに起った奇跡が私たちにも起ることなのです。

牧師　藤 掛　順 一

[2001年5月6日]

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